2024 A/W Collection

僕の服作りは何かとバランスを考えることが多いような気がします。

バランスを保つために多くの葛藤が生じることも事実で、時にはそれが自分の表現したいことを狭めているのではないかと感じることがあります。

もっとその時の気持ちの赴くまま、直感的に服作りをしてもいいのではないかと。
そう考えるきっかけの1つになったのが息子の一言でした。

ある日、Tシャツを前後ろ反対に着ていた息子に対して、それを指摘したところ、「こっちの方が格好いいから」との言葉が返ってきました。

それは大きなバックプリントが入ったTシャツで、そのプリントが前にあった方が目立って格好いいというのが本人の考えだったのです。

結局その時は前後直させたのですが、振り返ってみると、その単純に「格好いい」という感覚は非常に大切なことなのではないかと感じたのです。

他にはないデザインや仕様をアイテムに落とし込むことに、ここ数年囚われ過ぎてしまっていた面があるのではないかと思えてきました。

毎シーズン、新たな方法での服作りを試み、それを形にすることに必死に取り組んできましたが、僕の作っている服はどれも「格好いい」だろうかと。

服を見てくれた方の理解を越えたい・驚かせたいといった気持ちが「格好いい」を上回ってしまっていることがあったかもしれないという気持ちにもなりました。

そして、そのバランスは難しいものだとつくづく感じました。

自分の試してみたい・形にしてみたいといった欲と「格好いい」のバランス、15周年に向けた29シーズン目にしてまたぶち当たった葛藤でした。

そこにおける自分自身の現時点で出した答えを roundaboutとしての「格好いい」として皆様にお伝えしたいと考えています。

2024A/W、是非ともご期待下さい。
会場にてお会いし、お話しできることを楽しみにしております。

都内古着屋にて店長・バイヤーを経験したデザイナーが「Not fashion conscious. Not beautiful silhouette. But this is my way.」をブランド・コンセプトに掲げ、「流行り」や「洗練された」ものとは無縁でも「自分の好きなもの」・「自分が着たいもの」・「自分が見てみたいもの」だけを作っていこうと2010年1月に立ち上げたメンズ・アパレルブランド。

ブランド設立から現在までパターン・製品の縫製以外の全作業をデザイナー1人で行っている。

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