2023.07.14(金)〜 07.18(火)
菅野恵太「Zéphyr」
- 開催終了
- 個展
パリにきた明確な目的などなかった。
ただ住み慣れた場所から離れ何も知らない土地で写真を撮りたかった。
基本的に風のように流れ流れて生きてきた自分にとって知人の何気ない一言でパリに行こうと思ったのは自然なことだった。
まだ世界がコロナ禍に陥いる前
パリ19区Stalingrad駅近くの知人のアパートの一室に滞在していた。
周辺には移民労働者が多く住む場所で
朝はせわしく家を出る彼らの話し声で目が覚める。
カメラと最低限の荷物を持ち
キャビネットの上に飾られた知人のお父さんの遺影に挨拶をして街に出る。
何も知らない場所にいることが心地よくて
ただただ歩いた。
ときおり吹く生暖かくやわらかなそよ風に包まれながら夢中でシャッターを切る。
こうして人はこの街に魅了されていくのだろうか。
写真は瞬間を捉え過去になる。
これはある街のある春先の日々の記録。
菅野恵太
福島県生まれ。都内スタジオ勤務後東京を拠点にファッションやポートレート撮影を中心に活動。
主にアナログカメラを使用し、ライフワークとしても風景、人物写真を撮り続けている。